巣に運ばれた蜜は、働きバチの口器で薄い膜状に引き伸ばされたり、羽で旋風されながら標準濃度を高めていきます。そして、ミツバチの唾液に含まれるインヴェルターゼや、花粉、ローヤルゼリーが混じって化学反応を起こし、栄養価の高いハチミツに仕上がります。

プロポリスとは、ミツバチの巣箱の裏側や桟などについた、黒褐色のネバネバしたもの。これには、外敵の侵入を防ぐ働きと、女王蜂の産卵にそなえて巣の中を消毒する働きがあります。ここ数年、この物質がもつガンや成人病への効用について急速に研究がすすめられています。

ミツバチたちの空中ダンスは、集団のコミュニケーションのための“言葉”。蜜や花粉の豊富な花畑を見つけた働きバチは、巣に戻って仲間のハチたちの前で奇妙なダンスを始めます。そこで、ダンスによってよく相談をして、大集団で収穫に行くかどうかを決めます。

ローヤルゼリーは、若い働きバチの咽頭腺から分泌される乳白色の粘膜のことで、ハチミツとは全く別のもの。タンパク質など40種もの栄養素や、若返り効果がある類パロチン、抗ガン作用のあるデセン酸が含まれ、更年期障害やガン予防、免疫力アップに効果があるといわれています。

「ハチミツの歴史は人類の歴史」ともいわれるほどに人とハチミツの出会いは古く、特に古代エジプト、ギリシア、中国では、甘味料としてのハチミツが珍重され、養蜂業も営まれていました。また、医薬品としての効用も経験的に知られていたようです。

「花粉だんご」とは、ミツバチが蜜を吸いながら花粉を丸めてつくったもので、巣に戻るときに後ろ足につけてくるオレンジ色や白色の花粉のかたまりのこと。タンパク質や各種ビタミン類が豊富に含まれ、医学や薬学の分野でも大いに注目されています。

養蜂では主にハチミツや蜜蝋などの採取を目的としますが、ハチの花粉媒介による果樹類・ウリ類、その他の植物の結実にも広く利用されています。